ブログ - 将棋レッスン ワン・トゥ・ワン

初段ナビゲーターのランダムノート


都成竜馬七段は谷川十七世名人の唯一の弟子。都成竜馬⇒都(みやこ)に成る竜馬⇒5五角成。名前からしてまさに将棋の申し子のようです。

新手メーカーとして知られ、「都成流△3一金」と呼ばれる後手番の戦法が有名です。某YouTubeで、特に後手番で工夫を出したいと発言されていて、自らの棋士としてのアイデンティティを「独創」に求めるこだわりや矜持を感じます。

(図は△7一金まで)
20230317木村都成48手

振り飛車ミレニアム囲いの先駆けでもある。この日は一段下がった矢倉でした。(竜王戦1組ランキング戦、対木村九段戦、2023/03)。7一の金を銀で引っ掛けられる心配がないのがいいですね。図から▲2六角△1二香▲3五歩△同歩▲3八飛△4四角と進みました。

ルックスも人柄も申し分なし。ポテンシャルを出し惜しみすることなく、盤上盤外でのさらなる活躍に期待しましょう。

スナップショット

(図は▲4六歩まで)
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【ピリ辛流居飛車力戦(3)】角道も飛車道も開けない2手目△6二銀を試しています。図まで組めれば後手も満足でしょうか。以下△3四歩▲2六角△3三桂▲4七金△4二角▲3五歩△5四飛▲3六金△5五歩と進みました。

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藤井本
四間飛車上達法
[著]藤井猛
[出版社]浅川書房
[価格]1,540円
[発売日]2017/12/25

正しくは(入門書というより)技術書でしょうか。スラスラと読める本や、手っ取り早く知識や理屈が得られる本がいい本という訳ではない。ゆっくりとつっかえながら時間を掛けて読む本や、何度も何度も繰り返して読んで体の中に深く取り込んでいくような感じの本もある。本書は後者に当たります。

著者本人が『自分が子どもの頃に「こんな本に出会いたかった!」と思うような本を作ってみました』と述べている。孤軍奮闘して藤井システムを作り上げた棋界きっての理論派。四間飛車を通して将棋の序中終盤を理解し、一本の軸が身につくよう、熱心に語ってくれます。

聞き手との会話調で講義は進む。自分を聞き手(受講者)と重ね合わせて読むといいでしょう。初心のうちから手元に置きたい名著。将棋が好きになれるか否かの踏み絵のような本かもしれません。

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甲斐智美女流五段引退の知らせには驚きました。さらにはその後マイナビ女子オープンの挑戦者に名乗りを上げた。気負いが消え、のびのびと指せた結果でしょうか。

どこか超然としたミステリアスなイメージ。たまたま身近に将棋があったのか。やれば出来てしまう豊かな才の持ち主なのでしょう。

五番勝負開幕前の記念撮影で、明らかに雰囲気が変わった甲斐さんの柔和な表情に感じ入りました。勝負の情念のようなものが取れた清々しさ。すでに次のステージへと移られたのでしょう。人生は一度きり。生き方は人それぞれ。どうかこの先幸多からんことを。

スナップショット

(図は△3八竜まで)
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ベストバウトの一つはやはり対深浦九段戦(王位戦予選、2013/10)かと。当時携帯中継で見ていた記憶がありますが、決してフロックではなく、中終盤の力比べを制した印象でした。先手ピンチに見える図から▲4三角成(詰めろ逃れ)が名手。△同金に▲1三銀以下長手数の即詰に討ち取りました。お見事!

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父は苦学を経てゼネコンに就職。当時の父親が皆そうであったように仕事一筋の人でした。せめてリタイア後はゆっくりと過ごしてほしいと願ったが、86歳で生涯を終えるまでの余暇の長さはいかほどだったでしょう。仏画を描くことを新たな趣味とし、御朱印を受けに寺社を巡ったり、絵画展に出品したりして楽しんでいた。前項で使用した曼荼羅は父によるものです。

壁掛け将棋盤
(壁掛け将棋盤の試作。曼荼羅を透かせた)

本人によるプロフィール「仏画を描き始めた経緯」のくだりが振るっている。「幼い頃から信心深かった上、長く務めた建築の現場は、工事の『安全』への祈りとともにあった。生涯学習の思いから、某講座で仏教絵画の師に学び…」

絵から伝わる真面目さや根気強さ、手先の器用さなど、私はどれも似なかったなあ。(私は思うように真っ直ぐ線が書けない「線描イップス」なのだ)。遺品整理の際、額装された小品を引き取り、自室に飾ってせめてもの供養としています。

仏画
(遺品の仏画。作品の詳細は分からない)

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村田顕弘六段の新刊「オールインワンの新戦法 村田システム」。鳥刺しや嬉野流、カメレオンなどに通ずる力戦調。本の帯には「将棋は村田システムかそれ以外か」とあります。その意気やよし。

コラムには「私は角道を(すぐに)開けないことに人生を賭けたい。村田システムの挑戦に、強い使命感を抱いている」とも。村田さんはかつて関西の四天王の一人に名を連ねていました。棋士の個性は人それぞれ。意外と無頼派なのかもしれません。実戦ではあまり採用されていないようでも、これだけ著書で手の内を明かしてしまっては仕方のないことでしょう。

私はかねてより初手の最善手は▲7六歩ではないような気がしていました。可能性や選択肢を広げる。相手の出方を見て対応を決める。これらに重きを置くことに相反するとも思えるからです。それはさておき、こうしたオリジナル戦法がプロ棋士により披露されることは喜ばしい限りです。

スナップショット

(図は▲1七香まで)
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【ピリ辛流居飛車力戦(2)】上に感化され、序盤戦を楽しんでいます。私は受け将棋なので専ら持久戦になるのですが(笑)。図の▲1七香は誘いの隙か。以下△4五銀▲同銀△1七角成▲5八飛△4四歩▲5四銀△同銀▲5五歩△6三銀▲5四歩△5二香と進みました。

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