ブログ - 将棋レッスン ワン・トゥ・ワン

初段ナビゲーターのランダムノート


対局者が自ら振り返り綴る自戦記。勝てば自賛、負ければ自虐が増えることは止むを得ません。何せその対局のことを誰よりも思い悩み考え抜いた当事者です。指した将棋を肴に、思う存分個性を発揮し、自己アピールすればいいでしょう。

NHKの将棋テキストには、NHK杯トーナメントの楽しい自戦記を読むことができます。筆が立つ人にはどんどん書いてほしい。いつか自戦記集が編まれることがあれば、ぜひ手元に置きたいですね。

自戦記の面白さはプロやアマ、将棋の強い弱いを問うものではありません。山口瞳や安部譲二、団鬼六は言うに及ばず。文人に限らず、将棋に熱を上げる著名人は皆読ませてくれるでしょう。

私の場合、指すことと同じくらい、否それ以上に書くことに楽しさを感じます。対局を客観的に振り返り、AIに伺いを立てると、さまざまな気づきや驚きがあります。棋力向上にもつながっていると信じたい。自戦記を書く楽しさが広まり、新たなブームになることを密かに夢想しています。

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居飛車側(後手)が持久戦を目指したときは、△4四歩と角道を止める手に▲6五歩が気持ちのいい手。飛車と角の視界が開けます。以下振り飛車側が攻勢を取る展開も見込めると、藤井猛さんや久保さんの本に書かれています。

但し相手の玉も堅いので、さばければそれでいいというものでもない。できれば何かしらのアドバンテージがある形で決戦できるといいでしょう。

(図は△3二金まで)
四間飛車対矢倉36手

将棋を居飛車(矢倉)から覚え、振り飛車を相手に矢倉で戦う人をたまに見掛けます。双方普通に駒組みすると図のような感じになるでしょうか。

矢倉は振り飛車に対してはやや不利とされている。図から振り飛車側が攻めてよくなる順を示そうとしたところ、これが意外と難しい。候補手は▲2五桂や▲2六歩、▲4五歩、▲5五歩、▲5八銀、▲5八飛、▲6六銀、▲8八飛など。私ならあれこれ迷って……▲5五歩かな。ともあれ、はたと手が止まり長考してしまいそう。これも将棋の楽しさや難しさでしょうか。(とりとめがなくてすみません)

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新聞の囲碁・将棋欄に連載される観戦記。小説と並ぶ二大ロングヒットコンテンツでしょう。新聞社は棋譜の提供を受ける対価として将棋連盟に契約金を支払う。棋士たちのギャラの源ですね。

素材としての棋譜を、料理へと仕立て上げたものが観戦記。メニューには、①指された将棋の解説、②対局の情景描写の他、③上達のヒントやミニ講座、④指し掛け(次譜)の次の一手の出題などがあるでしょうか。

私が忌み嫌うのは、①に終始した符号だらけのもの。読者の一体何人が読み、分かるというのか。それよりも、②の対局者の言動や、盤上盤外の出来事、人間的なエピソードなどを数多く取り上げてもらいたいですね。

今や指し手の善悪はAIに聞けば事足りる。形勢の推移はAIが解析してくれる。それらをわざわざ読むまでもないとばかり、当事者たる棋士たちさえ観戦記にさほど興味を示さないのだとか。

そもそもの活字離れ、新聞離れが進む中、将棋界は繁栄を維持する妙手を繰り出せるでしょうか。

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序盤のコツ。相手の動きをよく見る。しっかりと駒組みをする。できれば持久戦が望ましい。けどいるんですよ、血気盛んに攻めてくる人が(笑)。△5三銀左が急戦のサイン。△6四歩(1図)は早仕掛けと呼ばれる作戦です。

(1図は△6四歩まで)
四間飛車早仕掛け26手

1図からの指し手
▲7八飛  △6五歩  ▲6八飛  △7三桂  ▲9六歩  △6六歩
▲同 銀  △6五歩  ▲同 銀  △同 桂  ▲2二角成 △同 玉
▲6五飛  △8八角  ▲7七角  △同角成  ▲同 桂  △8八角
▲8五飛  △同 飛  ▲同 桂(2図)

(駒組みした後、どう指していいか分からない……)。1図から(1)▲6五歩としようとする初級者が少なくありません。以下△7七角成▲同桂△8六歩は後手ペース。相手の攻めを待って反撃する。「動きで動く」「指させて指す」と心得ましょう。

(2)▲5六銀は△6五歩に備えつつ、▲4五銀~▲3四銀の玉頭銀の狙いがあります。(3)▲5六歩は自然な手。△6五歩には手抜いて▲4七金~▲3六歩と高美濃に組み換えよと多くの指南書に書かれています。

ただどうも横っ腹がスース―しませんか。そこで秘手(4)▲7八飛。はい、一手パスです。(仮に△4二金上ならさらに▲8八飛とパスする)。△6五歩に▲6八飛と戻ります。

△6六歩から戦いに。駒がぶつかったら強く戦う。駒交換を恐れない。じりじりと飛車角を押さえ込まれてはなりません。2図は左辺がさっぱりとさばけました。ここまで指せれば負けても悔いはない(笑)。

(2図は▲8五同桂まで)
四間飛車早仕掛け47手

(3)に続く)

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先に「3」は魔法の数字と書きました。(記事はこちら

コメディーに「三段オチ」という技法があります。3回目に変化させる。三つ目を強調するために、一つ、二つと伏線を張っていきます。「じゅんでーす」「長作でーす」「三波春夫でございます」(レツゴー三匹)

私の俳句好きは、見よう見まねで「連句」を巻いたことがきっかけでした。五七五・七七・五七五・七七……とつなげ、季節の移ろいや森羅万象を詠み込んでいく。1句目と2句目(発句と脇)は言わば挨拶句。3句目(第三)で場面を主題へと一転させます。

サザンオールスターズは「勝手にシンドバッド」で衝撃的なデビューを飾った。次の「気分しだいで責めないで」は似た曲調。3曲目が「いとしのエリー」。このバラッドの名曲で人気を不動のものにしました。「3」で転じた好例でしょう。

今秋ランチョンマットの3作目を予定しています。これらの法則を活かした妙案はないものか。一風変わったものを出したいと念じています。

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