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初段ナビゲーターのランダムノート


4月27日、ABEMAトーナメント2024のドラフト会議が放送された。11名のリーダーによる指名棋士やそれに至った構想などが紹介されています。

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ABEMAトーナメント2024ドラフト会議 指名一覧&予選グループ分け | 藤井聡太を忖度なしで応援するブログ

私は決して熱心なウォッチャーではなく、その日も「ながら見」していました。藤井聡太竜王名人は1巡目で指名した羽生九段が3人と競合。くじ引き順で1番を引き、さらに3分の1を引き当てた。まさに王者の風格でした。渡辺明九段は1巡目のくじ引きで2連敗。この日もエンタメ役?で盛り上げた。中堅からベテランへと差し掛かり、いい年の取り方をしていますね。

ドラフトにはリーダーたちの個性が垣間見える。棋風や将棋観、人生観にも通ずると言ったら大袈裟でしょうか。およそ次の四つのグループに分かれたように感じました。(太字はリーダー、その後に指名した棋士)

①勝負に徹する
・永瀬九段--増田康宏八段 森内九段
・中村太地八段--佐々木大地七段 渡辺和史六段
・佐々木勇気八段--伊藤匠七段 久保九段

②自らを高める(チームメイトから吸収する)
・藤井聡太竜王名人--羽生九段 青嶋六段
・豊島九段--糸谷八段 大石七段
・稲葉八段--藤本五段 上野裕寿四段
・菅井八段--佐藤康光九段 丸山九段

③居心地のよさを求める
・広瀬九段--黒沢六段 杉本和陽五段
・斎藤慎太郎八段--高見七段 三枚堂七段

④楽しむことを旨とする
・渡辺明九段--山崎八段 岡部四段
・佐藤天彦九段--斎藤明日斗五段 山本博志五段

どれがいいなどと論ずるつもりは毛頭ない。例えば永瀬九段のガチぶり(「増田縛り」)はむしろ清々しいほどでしょう。けれど棋士は150人以上いるのに、あまりに人選が偏り過ぎるのはいかがかと。

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(図は▲9六歩まで)
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【ピリ辛流居飛車力戦(13)】図は後手指せそうだが、具体的にはどうしたものでしょう。以下△3一金▲6八角△3三桂▲7七桂△2一金▲8九飛△4五歩▲5七角△4四角▲6八角△7四歩と進みました。

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((1)はこちら

将棋というゲームはどちらかが相手の玉を詰めないと終わらない。初心者同士の対局が延々と続くのはそのためですね(笑)。上達には「詰める」技術の習得が欠かせません。

実際に3手詰を逃してしまうことは多々あります。一つには詰みの「見逃し」。詰将棋の問題と違い、実戦ではある局面で「相手玉には詰みがある」とは教えてくれません。二つにはいわゆる「ポカ」。単純な錯覚や、せっかちで手が滑る、勝手読み(相手の2手目)などなど。

これらを克服するには、やはり詰将棋を解くことでしょうか。まずは簡単な問題を何度も解き、形で覚えることを心掛けたいものです。

(例題はいずれも3手詰)

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けれど実戦ではさまざまな、複雑な局面と出くわします。互いの駒が入り組んでいたり、敵玉が中段に這い上がってきたり……。やはり「手を読む」こと、「3手の読み」が大切になります。

(3)に続く)

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増田康宏八段はこの春順位戦A級に昇級。26歳・デビューから9年余りの昇進はかなり順調にも思えるが、本人や師匠(森下九段)をはじめとした周囲の期待や推測と比べるといかほどだったのでしょう。

以前、研究用に使う駒がプラスチック製であることが話題になりました。

多くの将棋棋士たちが研究でも「いい駒」にこだわる中で…増田康宏七段が愛用している「まさかの逸品」(大川 慎太郎) | 現代ビジネス | 講談社(1/3)

これを物事に頓着しない、こだわりが少ないと見るのはいかがか。私などはこれこそが「こだわらないという」こだわりだろうと感心するのです。

増田さんは率直な物言いで知られている。「矢倉は終わった」「詰将棋意味ない」などなど。それらに悪意はなく、要は常識や既成概念にとらわれないピュアな心根によるものでしょう。

「ヒート、体がバッキバキになるらしいですね」棋士・増田康宏26歳がNBAに学ぶ“AIと将棋のマインドセット”「食事や睡眠をイチから…」 - 将棋 - Number Web - ナンバー

NBAなど、趣味のスポーツ観戦から着想を得て、対局に活かそうとする。棋力向上につながる心身の鍛練を志す。佐藤天彦九段がクラシック音楽の鑑賞から、将棋の個性を模索していることととてもよく似ています。増田さんもまた、素敵なこだわりを持った人なのでしょう。

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(図は▲6七金引まで)
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【ピリ辛流居飛車力戦(12)】形勢はともかく、私好みの展開。図から中川八段を思い浮かべながら△7五歩。以下▲4五桂△7六歩▲5三桂成△同銀▲同歩成△同角▲5四歩△8六角▲同角△7七銀と進みました。

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「将棋世界」誌の大きな広告が目に留まりました。

将棋本の自費出版、はじめます!
マイナビ出版からあなたの将棋の本を出しませんか?

書籍化と制作・販売を請け負うとのこと。そうしたニーズを見込んだものか、あるいはそのためのリサーチか。いずれにせよ、素敵な取り組みと感じます。

自費出版、自らの証し、自分らしさの表現……。昔からほのかな憧れがありました。今ではパソコンやITの普及により、その敷居はぐんと低くなりました。それでもマイナビ(≒将棋連盟)の言わば「お墨付き」として刊行されることは、誇らしい喜びというものでしょう。

将棋世界4月号の付録は、詰将棋作家・岸本裕真さんの作品集でした。さらには今月次の2冊が発売されます。すでに諸々始まっているのですね。

・2手目△3二銀システム [著]二歩千金
・一撃! 対振り飛車へなちょこ急戦 [著]Sugar

私も独自の戦法を練り上げ、「ピリ辛システム」などと銘打って世に問うてみたいと思うけど、まあ色々と足りていませんね(笑)。

(2)に続く)

(ショップだより 目次はこちら


ここ数年、多くの女流棋士がデビューしました。2021年度5人、22年度7人、23年度7人。年に4人しか上がれない三段リーグが気の毒にも思えます。

新人女流の中には前途有望な人も大勢いるよう。中でも頭一つ抜け出したのが大島綾華女流二段でしょうか。今期勝率1位(29勝8敗、勝率0.7838)、今週マイナビ女子オープンの挑戦者に名乗りを上げました。女流王位戦リーグは4勝1敗。その1敗(対西山女流四冠(当時))も、時間切迫から逆転されたものの見応え十分でした。横顔などは詳しく知る由もありませんが、記事などを通じてそこそこの天然ぶりも垣間見えます。

マイナビ女子オープン五番勝負はその西山女王と。いわゆる「4強」同士ではないフレッシュなカードとなりました。言わずと知れた強敵ですが、臆することなく自分の将棋に集中してほしいもの。必ずや将来につながる貴重な経験となるでしょう。

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(図は▲7七同角まで)
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【ピリ辛流居飛車力戦(11)】後手の私の陽動振り飛車。図から①△5五歩▲5七金△5六銀▲5八金△4六歩▲同歩△同飛▲4八歩。今思えば②△5五銀▲5七金△5六歩▲6七金△4六歩の方がスマートですね。「銀先銀歩」と心に留めておきます。

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