ブログ - 将棋レッスン ワン・トゥ・ワン

初段ナビゲーターのランダムノート


3手の読み。こうやる、こう来る、そこでこう指す。読みの基本であり、最小単位でもある。「手を読む」とはどういうことでしょう。

1手目(の候補手)を決める。何十通りとある指し手の中からいくつかに絞る。昨今は中継などでAIによる候補手が3手とか5手とか表示される。自分の予想と重なるとうれしいものです。

2手目は相手の指してくる手を予想する。手前勝手ではいけない。相手の立場に立って、相手の読みに思いを致すことが肝要です。3手目はさらにその相手の手に対して自分が指す手を予定しておく。これらを比較して最善と思われる1手目を選びます。

このとき、自分がイメージする通りに局面(しばしば「脳内将棋盤」などと言われる)が動くことが理想です。上級者はこれをつなげてさらに先へ先へと読みを進めていく。まあ私たち素人は「短く正しく」を旨とするべきでしょう。

3手の読み。3手のコミュニケーション。「急所は2手目なり。自分が最も困る手が、相手の最善手である」(原田泰夫九段)。日常生活にも相通ずるものがあります。

(2)に続く)

(コラム「ひよこのきもち」 目次はこちら


先月、野原未蘭女流初段のSNSで成人式の和装を目にした。まだ20歳だったんですね。

最近は中継やイベントなど、将棋メディアで見掛けることが多い。きっと快活で社交性があるのでしょう。若いのに落ち着きがあり、聞き手などをそつなくこなす。そうしたことでますます美しくなられたようです。(今の時世、あまり言わない方がいいかな。誉めているので許してくださいね)

プロ入りを機に森内九段門下となり、エリートの道を歩み始めた。将棋も同様に洗練されてきた印象です。アマ時代は個性的な力戦派として名を馳せた。出身は富山県富山市。もともとの師匠は元奨励会三段の鈴木英春さんです。

序中盤の洗練に、中終盤の荒々しい力強さを加えたハイブリッドを目指せば、まさに鬼に金棒でしょう。年初から震災に見舞われた北陸ですが、郷里への思いを胸にますます飛躍されること願っています。

スナップショット

(図は▲2五銀まで)
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【ピリ辛流居飛車力戦(10)】双方我が道を行く序盤戦。図から△3四歩▲同銀△8八角成▲同銀△2四角▲4七金△3三桂▲2五歩△3五角▲3六歩△1三角と進みました。

(コラム「月刊いいね!」 目次はこちら


昨年10月に刊行した創作いろは歌選集「初心(うぶ)」には、将棋にちなんだ歌を5編載せました。藤井聡太五冠(当時)の全冠制覇への期待や、AIとの共存、鬼殺しの破壊力なども詠みました。詳しくは…お買い求めの上お読みください(笑)。

将棋の歌は今後も作り続けていきます。囲碁には、囲碁の歌ばかり1,000首以上作った大家・中山典之七段(故人)がいらっしゃる。少しでも近づきたいものです。

近作「逆転のゲーム」をご紹介。藤井聡太八冠が誕生した王座戦五番勝負の決着局、最終盤に勝ち筋を逃した永瀬王座の悔恨に触発されて練りました。将棋AIがどれほど強くなろうと、人間同士の戦いが生み出すドラマは観る者の胸を打ちます。

山が険しきほど
油断に怯え 震えは焦りを
小さいミスで 奈落の底へ
目も虚ろ 眠れぬ夜


やまかけわしきほと
ゆたんにおひえ ふるえはあせりを
ちいさいみすて ならくのそこへ
めもうつろ ねむれぬよ

038やまか

(ショップだより 目次はこちら


棋友に雁木対策について聞かれ、門倉啓太五段著「新型雁木を一気に潰そう!」を購入しました。まだ斜め読みですが、とても読みやすく、主要な変化が整然と網羅されていました。やっぱり棋士って頭がいいんですね(笑)。

門倉さんは初手▲7八飛に代表されるように、作戦家、序盤巧者のイメージがあります。近頃は居飛車も指されていますが、同書のコラムにも「どのような戦型になってもオリジナリティを出すことを意識」していると綴られています。

私は決して熱心なウオッチャーではありませんが、年に一度くらい(失礼)、門倉さんの目を見張るような快勝譜を見掛けます。

(図は△6四歩まで)
20240109門倉斎藤58手

今週の順位戦もそんな一局でした。(順位戦C級1組、対斎藤明日斗五段戦、2024/01/09)。後手の一手損角換わりに早繰り銀で先攻。図から▲8二金が好手でした。以下△5一玉▲8三金△6六角▲同飛△6五桂▲7三角△4一玉▲6四角成△5七桂成▲4六馬△5八成桂▲6一飛成△5一銀▲7三馬と攻めを継続。鮮やかな勝利でした。今後もセンスに富んだ序盤作戦に注目したいと思います。

スナップショット

(図は▲9四成桂まで)
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【ピリ辛流居飛車力戦(9)】ゴキゲン中飛車に右玉で応戦。図から△2五歩▲同歩△3五歩▲9五成桂△2六歩▲同銀△3六歩▲7四歩△同銀▲8四成桂△3七歩成▲同銀△2七歩▲同金△6三角と進みました。

(コラム「月刊いいね!」 目次はこちら


四つ下の妹からメールが届いた。質問に詰将棋の画像(下図)が貼り付いている。えっ、将棋始めたの? スマホの詰将棋アプリ(みんなの詰将棋)の1手詰を終え、3手詰に進んだそうです。

みん詰3手

「13飛、同馬、32角成って正解できたけど…同馬をアプリが勝手に動いたから32角成がわかったのであって、2手目は同玉とは動かないのね?詰まなくなっちゃうよね?」

「熱心だね。感心。13飛に同玉は12飛成までの3手詰。このとき取った桂が余る。これを『同手数駒余り』と言う。詰将棋のルールに『玉方は最善の逃げ方をする。詰みの手数が最長になる手を選ぶ。そのような手が複数ある場合、攻方の持ち駒が余らない手を優先する』。なので2手目は13同馬が最善の応手(正解)となります。ややこしいね」

「あー!そうかそうか。12飛成が見えてなかった。桂馬取る事になるもんね。わかった。3手詰は2手目がわからなくて…アプリは勝手にやってくれるけど、紙の問題は自分で考えなきゃいけないから…」

なるほど、初級者はこういうところで悩むのか……。以上を予告編として、後日続きを書いてみたい。妹には「3手詰がんばって」「3手の読み(こうやる、こう来る、そこでこう指す)は将棋の基本だから」と伝えました。

(コラム「ひよこのきもち」 目次はこちら

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