伊藤沙恵女流三段の包容力。人柄に将棋に、春の陽だまりのような穏やかな優しさを感じます。実のところ、最初に浮かんだイメージは「母性」や「良妻賢母」といったものでしたが、今のご時世、ジェンダー云々で迂闊なことは言えないんですね。けれどきっとこの先、素敵な家庭を築かれることかと。
先頃放送された「女流ABEMAトーナメント2023」では、リーダーにふさわしい落ち着いた振る舞いと指し回しで、チームを優勝へと導きました。女流棋士には珍しい個性的な受け将棋。大模様や厚み、押さえ込みなどがひときわ異彩を放ちます。
(図は▲8五銀まで)

女流順位戦、対中井女流六段戦(2022/12、伊藤勝ち)。後手の左美濃急戦を、雁木(居玉)で迎え撃ちました。沙恵ワールド全開の図。すでに1筋に手をつけている辺りに、充実と深謀遠慮を感じます。

(図は▲5六歩まで)

【ピリ辛流居飛車力戦(1)】最近試している戦型。(詳しくは次月に)。後手はここまで組めれば本望でしょうか。図から△1五歩▲同歩△1六歩▲3五歩△3四歩と進みました。
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