ブログ - 将棋レッスン ワン・トゥ・ワン

初段ナビゲーターのランダムノート

2023/06


甲斐智美女流五段引退の知らせには驚きました。さらにはその後マイナビ女子オープンの挑戦者に名乗りを上げた。気負いが消え、のびのびと指せた結果でしょうか。

どこか超然としたミステリアスなイメージ。たまたま身近に将棋があったのか。やれば出来てしまう豊かな才の持ち主なのでしょう。

五番勝負開幕前の記念撮影で、明らかに雰囲気が変わった甲斐さんの柔和な表情に感じ入りました。勝負の情念のようなものが取れた清々しさ。すでに次のステージへと移られたのでしょう。人生は一度きり。生き方は人それぞれ。どうかこの先幸多からんことを。

スナップショット

(図は△3八竜まで)
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ベストバウトの一つはやはり対深浦九段戦(王位戦予選、2013/10)かと。当時携帯中継で見ていた記憶がありますが、決してフロックではなく、中終盤の力比べを制した印象でした。先手ピンチに見える図から▲4三角成(詰めろ逃れ)が名手。△同金に▲1三銀以下長手数の即詰に討ち取りました。お見事!

(コラム「月刊いいね!」 目次はこちら


父は苦学を経てゼネコンに就職。当時の父親が皆そうであったように仕事一筋の人でした。せめてリタイア後はゆっくりと過ごしてほしいと願ったが、86歳で生涯を終えるまでの余暇の長さはいかほどだったでしょう。仏画を描くことを新たな趣味とし、御朱印を受けに寺社を巡ったり、絵画展に出品したりして楽しんでいた。前項で使用した曼荼羅は父によるものです。

壁掛け将棋盤
(壁掛け将棋盤の試作。曼荼羅を透かせた)

本人によるプロフィール「仏画を描き始めた経緯」のくだりが振るっている。「幼い頃から信心深かった上、長く務めた建築の現場は、工事の『安全』への祈りとともにあった。生涯学習の思いから、某講座で仏教絵画の師に学び…」

絵から伝わる真面目さや根気強さ、手先の器用さなど、私はどれも似なかったなあ。(私は思うように真っ直ぐ線が書けない「線描イップス」なのだ)。遺品整理の際、額装された小品を引き取り、自室に飾ってせめてもの供養としています。

仏画
(遺品の仏画。作品の詳細は分からない)

(ショップだより 目次はこちら

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