甲斐智美女流五段引退の知らせには驚きました。さらにはその後マイナビ女子オープンの挑戦者に名乗りを上げた。気負いが消え、のびのびと指せた結果でしょうか。
どこか超然としたミステリアスなイメージ。たまたま身近に将棋があったのか。やれば出来てしまう豊かな才の持ち主なのでしょう。
五番勝負開幕前の記念撮影で、明らかに雰囲気が変わった甲斐さんの柔和な表情に感じ入りました。勝負の情念のようなものが取れた清々しさ。すでに次のステージへと移られたのでしょう。人生は一度きり。生き方は人それぞれ。どうかこの先幸多からんことを。

(図は△3八竜まで)

ベストバウトの一つはやはり対深浦九段戦(王位戦予選、2013/10)かと。当時携帯中継で見ていた記憶がありますが、決してフロックではなく、中終盤の力比べを制した印象でした。先手ピンチに見える図から▲4三角成(詰めろ逃れ)が名手。△同金に▲1三銀以下長手数の即詰に討ち取りました。お見事!
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