屋敷伸之九段。初代・忍者(二代目は服部六段ですね)。早熟の異能棋士。奨励会6級から四段昇段まで2年10カ月、プロ入りからタイトル獲得まで1年10カ月は、いずれも史上最速記録です。
競艇ファンで知られ、かつては、将棋の勉強はスポーツ紙の詰将棋を解くくらい、「一日1分、唸っても3分」と公言していた。三浦棋聖(当時)に挑戦した棋聖戦(1997年)では、一日の勉強時間・10時間対1分などと取り上げられました。一方で順位戦では苦労もした。無頼派らしさゆえの、仕方のないことだったのかもしれません。
将棋の輝きは今も衰え知らず。先頃もテレビ棋戦で斎藤慎太郎八段を吹っ飛ばしていました。その放送の翌週、私は友人と平和島へお舟を見物に行った。(屋敷さんが通っていたんだな…)と思い巡らせたそのとき、ご本人が颯爽と目の前を通り過ぎたのには本当にびっくりしました。「NHK杯、お見事でした」と声を掛ければよかったかな。

(図は▲7七玉まで)

【ピリ辛流居飛車力戦(17)】先手玉を追い掛け回した末、図から私の次の一手は……投了……。翌日AIで振り返ると、△6五桂▲6六玉△5四桂▲5六玉△5七桂成まで5手詰と。最後の桂成が盲点でした。とほほ。
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