鈴木環那女流三段には明朗快活、イベントの華というイメージがあります。私も昔とあるイベント会場で思い掛けず挨拶をされ、たちまちファンになりました。

中堅に差し掛かった昨今、棋戦での活躍には目を見張るものがあります。2020、2021年度は勝率6割超え。女流順位戦A組、女流名人戦リーグ入りはトップ棋士の証でしょう。もともと自分のあるべき姿に向かってきちんと努力できる人なのかと。それがまっすぐ対局へと向かったことが、最近の覚醒につながったのでしょう。

女流棋士の立ち位置や個性はさまざま。ワークライフバランスの難しさもあるでしょう。けれどやはり本分は対局かと。棋戦が増え、白玲戦(順位戦)でランク付けされることにもなりました。将棋の勉強に遅過ぎることはない。女流棋士には皆同じくそのポテンシャルがあるであろうことを、鈴木さんは示しました。

スナップショット

(図は△7七銀まで)
20220507鈴木甲斐132手

先月行われた女流王座戦予選、対甲斐女流五段戦から。最終盤、両者秒読み。このとき私は電車で移動中でしたが、モバイル中継から目が離せなくなっていました。図から▲9三香△同桂▲8一飛△同玉▲7三桂△9二玉▲9三歩成△同銀▲8四桂…。40手以上後手玉を王手で追い回し、ついには詰めてしまった。いやはやびっくり。お見事でした。

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