(前々回(オズボーンのチェックリスト)はこちら)
(前回(ランチェスター戦略)はこちら)
将棋の指し手や作戦の工夫に、知られた原理や法則を応用する。今回は「ミスディレクション」。マジックの基本技術を取り上げます。
マジシャンは、観客の注意を間違った方向(マジシャンにとっては都合の良い方向)に誘導します。マジシャンがコインを投げ上げ、その方向を見れば、観客はその視線を追って上の方を見る。観客の注意は動くものに、またはマジシャンの向く方向に集まります。
対局中、相手がどこを見ているかで狙いを予測することがあるでしょう。これを逆手に取るのです。
(1図は△6五歩まで)

1図の△6五歩には、ある攻め筋が見えますね。敵陣(右上)を見て察知されてはなりません。自陣(左下)も同様。(△8六歩などを考えさせない)。そこで、
(1)盤面の右下を見る
(2)さりげなく4六の歩や2八の飛車にちょんと触る。(▲4五歩(偽の攻め筋①)には△6四角ですか。なるほど)
(3)2九の桂や1九の香に触れるもよし。(次は▲3七桂(偽の攻め筋②)ですよ)
このように相手の注意を誘導します。
かくして、図から▲6五同歩△同桂▲6六銀△6四銀▲3四歩(2図)。以下△同銀も△同金も▲3五歩で先手の駒得。姑息が過ぎますか(笑)。
(2図は▲3四歩まで)

(コラム「ひよこのきもち」 目次はこちら)
コメント