遅れてきた大器・佐々木勇気八段が竜王戦の挑戦者に名乗りを上げた。惜しくも2勝4敗で敗れたが、食事や封じ手など、天衣無縫な振る舞いで、初めてのタイトル戦を大いに満喫したようだ。第6局の会場・指宿市にも行き着き、当座の目標は達成できたことでしょう(笑)。
肝心の対局では作戦を凝らし、先手番で全3局とも有利な局面を作ってみせた。中でも第4局の「陽動・二手損角換わり腰掛け銀」は、大舞台で快勝したことや、おそらくAI由来ではないことから、今年度の升田幸三賞の最有力候補でしょう。(受賞すれば2回目)

(1図は▲5六銀まで)

上の第4局(▲佐々木勇気八段△藤井聡太竜王、2024/11/15-16)より。1図の▲5六銀は4六~4五~5六と移動したもの。通常の腰掛け銀より二手損しています。損することで、①自分が指さない手や、②相手に指させた手をプラスにしようとした。それは、①▲4六角(2図)と打つ、②▲9六歩(3図)と突き上げる(歩を入手して▲7四歩の狙い)に見られます。天才ここに極まれり。
(2図は▲4六角まで)

(3図は▲9六歩まで)

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