ブログ - 将棋レッスン ワン・トゥ・ワン

初段ナビゲーターのランダムノート

カテゴリ: コラム「ひよこのきもち」


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将棋の指し手や作戦の工夫に、知られた原理や法則を応用する。この「(5)パレートの法則」で最終回とします。

「総価値の80%は、20%の項目から生まれる」「売上の80%は、20%の商品、20%の顧客によってもたらされる」。「ニハチの法則」「80:20の法則」などとも呼ばれています。

「仕事の成果の80%は、費やした時間の20%から生まれる」。トップ棋士のタイムマネジメントもこれに当てはまるだろうか。タイトル戦の対局から消費時間を調べてみることにした。急所の20%の局面に、80%の時間を費やしているでしょうか。

(参考)
※1日制でチェスクロックを使わず、双方秒読みになる前に終局したものを選んだ
棋王戦五番勝負第2局(2024/02/24)
▲伊藤匠七段 △藤井聡太棋王
持ち時間 4時間

94手で藤井聡太棋王が勝利しました(棋譜はこちら)。両者の指し手ごとの消費時間を多い順に並べ替えて作表しました。

伊藤2411

藤井2411

両者それぞれ47手ずつ指しました。そのうち、伊藤さん、藤井さん、ともに(2割に満たない)わずか6手に消費時間の8割を費やしていた。いやはや、恐ろしいものを見た気がしました。

※コラム「ひよこのきもち」はしばらくの間休載します

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将棋ペンクラブ。将棋と文章を愛する会。入会すると年4回会報が届きます。2005年に入会し、会報へ投稿すること数度。かつては交流会に参加したり、社団戦のメンバーに加わったりしました。

ペン01-23

秋号は「将棋ペンクラブ大賞」受賞作の掲載があり、長年保存しています。10年ごとの変遷をまとめました。

ペン秋号

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3手詰の本は書店にたくさん並んでいる。手に取り気に入ったものを求めればいいでしょう。

3手詰ハンドブック【新版】 [著]浦野真彦
超ロングセラー。あらゆる詰手筋が網羅されています。

詰パラ発!激辛3手詰 [編]詰将棋パラダイス
近著。難易度ピンキリのピンの世界。詰将棋の深淵が垣間見えます。

5秒で解きたい3手詰 [著]小田切秀人
こちらも近著。ピンキリのキリ。著者は高名な指導棋士です。

問題を逆さまにして(玉方を手前にして)解くのも一興です。当然のこと、問題図は詰めろになっている。仮に玉方の手番なら(詰めるなどの好手がない限り)自玉を受ける必要があります。

初めは難しく感じかもしれません。これを続けることで、多くの詰み形を知ることができる。相手の立場から手が読めるようになる。相手の狙い(攻め筋や読み筋)を看破する力がつくでしょう。

「ひふみんアイ」(相手の後ろに回り、相手側から局面を考えること)は、この原理を応用して自らの手を考えている(ひらめきを得ている)んですね。

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将棋というゲームはどちらかが相手の玉を詰めないと終わらない。初心者同士の対局が延々と続くのはそのためですね(笑)。上達には「詰める」技術の習得が欠かせません。

実際に3手詰を逃してしまうことは多々あります。一つには詰みの「見逃し」。詰将棋の問題と違い、実戦ではある局面で「相手玉には詰みがある」とは教えてくれません。二つにはいわゆる「ポカ」。単純な錯覚や、せっかちで手が滑る、勝手読み(相手の2手目)などなど。

これらを克服するには、やはり詰将棋を解くことでしょうか。まずは簡単な問題を何度も解き、形で覚えることを心掛けたいものです。

(例題はいずれも3手詰)

3te002

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けれど実戦ではさまざまな、複雑な局面と出くわします。互いの駒が入り組んでいたり、敵玉が中段に這い上がってきたり……。やはり「手を読む」こと、「3手の読み」が大切になります。

(3)に続く)

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3手の読み。こうやる、こう来る、そこでこう指す。読みの基本であり、最小単位でもある。「手を読む」とはどういうことでしょう。

1手目(の候補手)を決める。何十通りとある指し手の中からいくつかに絞る。昨今は中継などでAIによる候補手が3手とか5手とか表示される。自分の予想と重なるとうれしいものです。

2手目は相手の指してくる手を予想する。手前勝手ではいけない。相手の立場に立って、相手の読みに思いを致すことが肝要です。3手目はさらにその相手の手に対して自分が指す手を予定しておく。これらを比較して最善と思われる1手目を選びます。

このとき、自分がイメージする通りに局面(しばしば「脳内将棋盤」などと言われる)が動くことが理想です。上級者はこれをつなげてさらに先へ先へと読みを進めていく。まあ私たち素人は「短く正しく」を旨とするべきでしょう。

3手の読み。3手のコミュニケーション。「急所は2手目なり。自分が最も困る手が、相手の最善手である」(原田泰夫九段)。日常生活にも相通ずるものがあります。

(2)に続く)

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