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初段ナビゲーターのランダムノート

カテゴリ: コラム「月刊いいね!」


AIを使った研究が全盛のプロ棋界。特に相居飛車は、似たような将棋ばかりが目立ちます。そんな中、我が道を行く双璧が、佐藤康光九段山崎隆之八段でしょう。両名とも私のごひいきなので、いずれこのカテゴリにご登場願うつもりでしたが、事が表題に至っては、書き留めずにいられません。まずは昨年11月のこと。

(図は22手目△9六銀まで)
20211125郷田佐藤22手

棋王戦挑戦者決定トーナメント、▲郷田九段△佐藤康光九段(2021/11/24)。この銀は8二~9三~8四~8五~9六と、5手連続で進んできたもの。「佐藤の銀が止まらない」の棋譜コメントとともに、リアルタイムで大きな反響がありました。それから8カ月後。

(図は26手目△9六銀まで)
20220719稲葉山崎26手

竜王戦決勝トーナメント、▲稲葉八段△山崎八段(2022/07/19)。「類は友を呼ぶ」とはこのことですね(笑)。この銀も6三~7四~8五~9六と4手連続で動いたものです。

途中は難しいところもあったでしょうが、両局とも後手の「暴銀」が勝利しました。「魅せて勝つ」。ファンが痺れるのも無理もありません。

スナップショット

(図は▲3六歩まで)
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【ピリ辛流2手目△7二金メモ(2)】序盤に駆け引きがあったものの、まあ普通の将棋でしょうか。図から△5五歩▲4八飛△8六歩▲同歩△6五歩▲4五歩△5三銀引▲3七金△5六歩▲4六銀△7五歩と進みました。

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女流順位戦終局。同星頭ハネがなくてよかったですね。先の昇級者予想を振り返ります。(予想記事はこちら

半分は当てたかった。(結果は10分の4)。自分なりにファクターを定め、対局に懸けるエネルギーやそのための環境などもあれこれ妄想しました。まあ予想より応援の色合いが濃かったのですが……。

A級(対戦表はこちら
【挑戦者】
02 △里見香奈(8-1)

里見女流五冠の一人旅。単勝110円かな。

B級(対戦表はこちら
【昇級者】
02 …中村真梨花(7-2)
05 △上田初美(7-2)

この組に限らず、実力者が上がるべくして上がった印象です。

C級(対戦表はこちら
【昇級者】
07 …室田伊緒(7-1)
11 …山田久美(7-1)
02 ◎野原未蘭(6-2)

室田女流二段は弟弟子(聡太さん)効果か、はたまた新婚パワーか。

D級(対戦表はこちら
【昇級者】
08 …加藤結李愛(7-1)
27 △田中沙紀(7-1)
05 …山口恵梨子(6-2)
21 …貞升南(6-2)

田中女流(2→)1級は初戦の逆転負けを引きずることなく、星を揃えた。かなりの高配当でしょう(笑)。

スナップショット

(図は△7二金まで)
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【ピリ辛流2手目△7二金メモ(1)】2手目△7二金を試してみようと思います。その心は「あなたとは普通の将棋は指しません。さあどうやってとがめますか」。相手が少しでもカチンときてくれればしめたもの。我が家のAIはこの手で先手+200近くまで振れますね。

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今やプロ棋士の常識となった将棋AIを使った研究。その先駆けが千田翔太七段でした。対人の研究会を断ち、人間の指した将棋を並べず。AIが指す棋譜をもとに、コツコツと定跡ファイルを作った。自戦記の「挑まなくてどうするのか」の一言が有名ですね。

おそらくは膨大な試行錯誤があったことでしょう。角換わりの「4二玉・6二金・8一飛型」「3三金型早繰り銀」で升田幸三賞を二度受賞。先見の明と、進取の精神に驚かされます。

そんな千田さん、最近の風貌や、連盟のプロフィール写真がひときわダンディーで目を引きます。もとより長身でスマート。かつては地方出身の大学生のようなイメージがありましたが(失礼)、こ、これは。恋の仕業か、婚活の一環か……。

どうやら知己のスタイリストにトータルコーディネートしてもらっているようです。個性や合理性に富んだ先覚が、実に千田さんらしいなと。次なる一手にも期待が膨らみます。

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(図は▲6五歩まで)
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最近指した将棋から。見よう見まねのエルモ。受け身で天の邪鬼の私が指すと、自ずと持久戦になります(笑)。図から△4四歩▲5五歩△4三銀▲3七桂△9五歩▲2六歩△4二金寄▲2七玉△3三角▲4五歩△7五歩▲同歩△8四飛と進みました。

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鈴木環那女流三段には明朗快活、イベントの華というイメージがあります。私も昔とあるイベント会場で思い掛けず挨拶をされ、たちまちファンになりました。

中堅に差し掛かった昨今、棋戦での活躍には目を見張るものがあります。2020、2021年度は勝率6割超え。女流順位戦A組、女流名人戦リーグ入りはトップ棋士の証でしょう。もともと自分のあるべき姿に向かってきちんと努力できる人なのかと。それがまっすぐ対局へと向かったことが、最近の覚醒につながったのでしょう。

女流棋士の立ち位置や個性はさまざま。ワークライフバランスの難しさもあるでしょう。けれどやはり本分は対局かと。棋戦が増え、白玲戦(順位戦)でランク付けされることにもなりました。将棋の勉強に遅過ぎることはない。女流棋士には皆同じくそのポテンシャルがあるであろうことを、鈴木さんは示しました。

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(図は△7七銀まで)
20220507鈴木甲斐132手

先月行われた女流王座戦一次予選、対甲斐女流五段戦から。最終盤、両者秒読み。このとき私は電車で移動中でしたが、モバイル中継から目が離せなくなっていました。図から▲9三香△同桂▲8一飛△同玉▲7三桂△9二玉▲9三歩成△同銀▲8四桂…。40手以上後手玉を王手で追い回し、ついには詰めてしまった。いやはやびっくり。お見事でした。

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大橋貴洸六段がカラフルなスーツで目立ち始めたとき、神吉七段が「よき後継者を得た」と喜んだかどうかは分かりません(笑)。大橋さんにとっては、自身のモチベーションを上げる戦闘服としての要素が高そう。そしてそれは個性の発露の一例に過ぎないようです。

大橋さんの美意識は著書に強く表れています。デビュー作「耀龍ひねり飛車」の冒頭、自らの理想の将棋を「耀龍」(ようりゅう)と名づけてセルフブランディング。テキストや図面のフォントを(丸ゴシックのような書体で)統一するなど、多くのこだわりが散りばめられています。

2作目の「耀龍四間飛車」は、ラノベのようなサブタイトルが楽しい。(このアイデアについては、こちらの記事に詳しい)。本書を端緒としてプロ間でも多く採用され、升田幸三賞を受賞したことは、極めて珍しい事例でしょう。

受講者の方から見せてもらった指導対局の棋譜の中でも、大橋さんの棋譜は美しさが際立っていた。最終盤、下手にきれいな決め手があり、それは耀龍と例えるにふさわしいものでした。

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(図は▲1三歩まで)
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【ピリ辛流2手目△4二飛メモ(8)】図に至っては後手も暴れていくよりない。図から△4五桂▲4六角△8五桂▲同桂△同歩▲1四香△3七桂成▲同角△8四桂▲1二歩成△9五歩▲1一と△8六歩▲8五香△7三桂。△8四桂ではすぐに△9五歩でしたか。ミレニアムは遠かった…。

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