ブログ - 将棋レッスン ワン・トゥ・ワン

初段ナビゲーターのランダムノート

カテゴリ: コラム「月刊いいね!」


大橋貴洸六段がカラフルなスーツで目立ち始めたとき、神吉七段が「よき後継者を得た」と喜んだかどうかは分かりません(笑)。大橋さんにとっては、自身のモチベーションを上げる戦闘服としての要素が高そう。そしてそれは個性の発露の一例に過ぎないようです。

大橋さんの美意識は著書に強く表れています。デビュー作「耀龍ひねり飛車」の冒頭、自らの理想の将棋を「耀龍」(ようりゅう)と名づけてセルフブランディング。テキストや図面のフォントを(丸ゴシックのような書体で)統一するなど、多くのこだわりが散りばめられています。

2作目の「耀龍四間飛車」は、ラノベのようなサブタイトルが楽しい。(このアイデアについては、こちらの記事に詳しい)。本書を端緒としてプロ間でも多く採用され、升田幸三賞を受賞したことは、極めて珍しい事例でしょう。

受講者の方から見せてもらった指導対局の棋譜の中でも、大橋さんの棋譜は美しさが際立っていた。最終盤、下手にきれいな決め手があり、それは耀龍と例えるにふさわしいものでした。

スナップショット

(図は▲1三歩まで)
2205

【ピリ辛流2手目△4二飛メモ(8)】図に至っては後手も暴れていくよりない。図から△4五桂▲4六角△8五桂▲同桂△同歩▲1四香△3七桂成▲同角△8四桂▲1二歩成△9五歩▲1一と△8六歩▲8五香△7三桂。△8四桂ではすぐに△9五歩でしたか。ミレニアムは遠かった…。

(コラム「月刊いいね!」 目次はこちら


斎田晴子女流五段と初めてお会いしたのは、かれこれ20年近く前の将棋まつりだったか。指導対局で対面し、清らかな美しさにクラクラしたことを覚えています。その後、佐伯九段将棋サロンに入会したことで度々交流を持ちました。私は裏方に徹していたため、ゆっくりとお話ししたことはないのですが。

今は連盟の理事も務められていますね。ベテランの年回りとは言え(失礼)、A級でバリバリ活躍する会長さんもいらっしゃるので、まだまだ老け込んではいられません(笑)。

最近の対局をモバイル中継で観ました。(対大島女流1級、女流順位戦)。まず初手が素晴らしかった。▲6八飛(図)。「私が振り飛車クイーンよ!」の矜持が聞こえてきそうです。

(図は▲6八飛まで)
20211207斎田大島1手

大島さんは現代調の対振り飛車金無双急戦。終盤、斎田さんが玉頭から勝負形に持ち込み、激戦を制しました。秒読みの指運勝負、好局だったと思います。

スナップショット

(図は▲4六銀まで)
2204

【ピリ辛流2手目△4二飛メモ(7)】初手から30秒。図の局面で考えがまとまらなかった。第一感の△6六歩は指し切れず。△9七歩もありましたか。実戦は△4六同銀▲同飛△4二飛▲5五銀△同角▲4二飛成△同金▲5五歩△9七歩。かなり変調でした。

(コラム「月刊いいね!」 目次はこちら


昨年の12月号から4カ月にわたり、『NHK将棋講座』の別冊として『NHK自戦記セレクション』が付されました。8月に書いたコラムで自戦記集をリクエストしたばかり。中の人の目に留まったのかな。うれしさもあり、全号買いました。次はぜひ書籍化を。

2月号は真部一男九段による3局。やはりどれも読ませます。知性あふれる筆致は唯一無二のもの。華のある対局姿ともども、今の棋士たちに似た人を見出すことができません。

対丸山四段(当時)戦(1991年)では四間飛車を採用。「この攻守にバランスのとれた戦法はなかなか味があり、また、相手がどうやってくるかも楽しみのひとつである」(自戦記より)。この頃には振り飛車党に転向していたようです。

真部さんの美文にもっと触れたくなり、当時立ち読みで済ませていた名著『升田将棋の世界』(2005年、日本将棋連盟)を古書店で購入。軽やかな真部節が手元に届き、心の安らぎを感じています。

スナップショット

(図は△4二飛まで)
2203

同じく対丸山戦の自戦記から。「さて、6手目の△4二飛はあまり見かけない手で、奇異に思われるかもしれないが、これは私なりに工夫した一手で、▲4六歩からの腰掛け銀を牽制している意味がある」。「ピリ辛流2手目△4二飛」は、まさにその延長線上にあり、

(コラム「月刊いいね!」 目次はこちら


武富礼衣女流初段。愛称は(ダニーならぬ)ドミーか、レイチェルか。デビューして間もない頃、AbemaTVで聞き手を務めているのを初めて見ました。屈託のない笑顔と、物怖じしない度胸のよさが目を引いた。知り合いにとてもよく似た人がいるんです。

イベントなどでお座敷がかかることも増えるかと。でも今は棋力向上に専心してほしい。持ち前の人懐っこさで、先輩棋士たちにどんどん教えを乞うてもらいたいですね。

応援の意味も込めて、先の女流順位戦の昇級者予想では本命に推しました。現状1勝3敗とやや苦しい立ち上がり。卒論をもう少し早く書き終える見立てだったのですが……。

その卒論のテーマは「棋風と性格」だとか。さぞかし力のこもった秀作でしょう。卒論の著作権は大学側にあるのかな。(そんな訳ないか)。将棋ファンのために、ぜひとも公開していただきたく。もちろん対価はお支払いします。新会館のクラファンの返礼品などはいかがでしょう。

スナップショット

(図は▲5七銀右まで)
2202

【ピリ辛流2手目△4二飛メモ(6)】図から△5二金左や△6三銀も一局でしょう。実戦はどちらも含みにして△7三桂。以下▲4六銀△3二金▲6七金右△6二飛▲3五歩△4五歩▲3四歩△同銀▲3五歩△4六歩▲3四歩△2二角▲4六歩△6五歩と進みました。

(コラム「月刊いいね!」 目次はこちら


井上慶太九段のイメージは、温厚で朗らか、タレント豊富なお弟子さんたち、軽快な居飛車党……などでしょうか。某日、モバイル中継で図の局面が目に留まりました。

(図は△2五歩まで)
20211006藤井井上10手

井上さん、自由だなあ。楽しそうだなあ。昨年10月6日、順位戦B2・対藤井猛九段戦。10手目△2五歩まで。昼食休憩時の局面です。昼食の天津丼はどんな味がしていたでしょう(笑)。

二人の対局では、かの藤井システム1号局が有名ですね。(47手で藤井さんの勝ち。1995年の順位戦B2)。このトラウマ?のせいか、対戦成績は(本局前まで)藤井さん12勝、井上さん2勝と偏りがありました。最近は相振り飛車が続いていたようです。

図から▲7八銀△7七角成▲同銀△2二飛と進み、井上さんは中住まいから、馬を手厚く自陣へ。その後も指し手は冴え渡り、見事に快勝されました。晴らした憂さはいかばかりか。

スナップショット

(図は▲2六角まで)
2201

【ピリ辛流2手目△4二飛メモ(5)】次の手は好みが分かれそうですね。ピリ辛流は△9二香▲3五歩△9一飛。以下▲6六銀△5四歩▲2四歩△同歩▲3四歩△同銀▲3八飛△4三銀▲3四歩△4二角▲3七桂△8四歩▲5五歩△6五歩▲7七銀引△9五歩と進みました。

(コラム「月刊いいね!」 目次はこちら

↑このページのトップヘ